さて、前回のお話は西洋薬の開発過程
「教室の子ども一人ひとりの特技を詳細なテストで調べ上げて、1種類ずつの『技』を薬にするようなもの
であるということをご説明させていただきました。
今回は東洋医学の出番です。

東洋医学は、噴水の水が出るという『結果』に着目し、長い長い歴史の中で、
「授業を急に自習にすると噴水から水が出ることがある」
「体育館でドッジボールをするように指示するともっと出やすい」
「教室で遊んでてもいいし、体育館でドッジボールをしてもいい」と指示すると、ほぼ確実に出る
などの結果が得られることを見つけ出し、
誰が何をしているのか(西洋医学的な薬効)は知らないけど、『自習』『体育館でのドッジボール』『教室での遊びも併用』の3つを指示すれば噴水は出せる
という知見を積み重ねて来ました。
この「自習」や「体育館でのドッジボール」などが生薬という訳です。

ここで薬理を子ども達の動きにたとえると

自習:
この5人を含む教室の子ども達の多くが教室の外に遊びにいく。
運良く5人がまとまることで「鍵のついた棒で閉ざされたドアの中にある、カバーのついたスイッチを押す」場合もあるが、
① 他の子ども達に連れられてグラウンドに出てしまったり、
② 他の子どももたくさんいるため、気を取られて「ドア」の前を素通りしたり
して、結局噴水が出ない場合がある

体育館でのドッジボールを指示:
①が減り、教室から体育館までの廊下の前にある「ドア」の前を5人が通る確率が上がる。

教室での遊びも併用:
教室でも遊んで良いということで教室に残る子どもが増え、②が減ることでさらに確実に噴水の水が出る

という訳です。しかもこの時同時に、
同じ「自習」をしていても、
「教室内で静かに読書をする指示」(5人が教室外に出なくなる)や
「外で遊ぶ提案」(「ドア」の前を通らなくなる)
をすると噴水は出なくなる
とか、
「体育館で遊ぶ提案も、『鬼ごっこ』にするとダメ」(実はバー君が鬼ごっこ嫌い)
なども同時に見つけていて、最善の組み合わせを研ぎ澄ませたのが現在の漢方薬という訳です。

大変な根気強さと観察力、見習わなければ…。